フランスの馬文化


乗馬観光へのお誘い
 人間と動物の触れ合いは心を和ませます。今、インターネットやテレビゲームが広まり、子供達は家に閉じこもり、たいへん頭が良くなった反面、意思の疎通に欠け、「すぐプッツン切れる。子供の犯罪が増えた。」等ということを耳にします。情操教育としての乗馬、そして身障者のセラピーとしても乗馬は開発されています。

 風光明媚な景色を観光バスではなく、エコロジックに馬で観光する、仏語でトゥーリスム・エケストル=乗馬観光がフランスでは発達しています。
 私は在欧30年、パリ、ジュネーブのガイドとして旅行業界にどっぷりつかり、同時に、文化交流の目的で、日本語、フランス語、スペイン語、アラビア語を教えています。そういった現状の中で、パリを基点とした乗馬観光の開発を私のライフワークとしていきたいと考えております。

軍馬のルーツ
 かつてヨーロッパの最強軍団はフランスとオーストリアでした。フランスの海軍はよくイギリスに敗れましたが、陸軍は強かった。パリ陸軍士官学校正面入口に、歩兵科、砲兵科、騎兵科と刻まれており、軍団を強くしたのに馬が一役買っているのがわかります。
 徳川慶喜と友好の深かったナポレオン3世からナポレオン・ボナパルト、さらに遡れば、軍馬用アラブ馬の種馬飼育所「HARAS」を創設したのはルイ14世の大臣コルベールでした。中世には、アラビア・サラセン帝国時代を通じ、いかに速く敵を攻めるかという武器としてアラブ馬がヨーロッパに持ち込まれました。ヨーロッパのアラビア・サラセン帝国最後の居城がスペイン・グラナダにあるアルハンブラ宮殿です。
 フランスから南スペインのアンダルシア、さらにアラブ馬がヨーロッパに入ってきたルーツを探り、モロッコのサハラ砂漠を馬で縦断旅行するのもロマンのあることです。

フランス馬文化 必見の都市、地方:ソミュール、ベルサイユ、シャンティーイ、ノルマンディ地方、カマルグ地方(南仏)。もちろん、どこもワインはテイスティです。

ソミュール:ロワール地方の古城がある町。
 日本でも既に公演した騎馬団「カドル ノワール(Cadre Noir)」のあるソミュール国立馬術学校は、オーストリア、ウィーンのスペイン馬術学校、ポルトガル馬術学校、スペイン・ヘレスの王立馬術学校と並んで、ヨーロッパの4大馬術学校の一つとして知られている。
ワインはソミュール・シャンピニー(冷やしても飲める口当たりの軽い赤ワイン)がおすすめ。

ベルサイユ:ブルボン王朝の太陽王ルイ14世からルイ15世、そして大革命のあったルイ16世までの時代のフランスの首都であった。
 ベルサイユ宮殿の大廐舍に、ベルサイユ馬術スペクタクル・アカデミーがオープンした。フランス政府から任命された校長はジンガロ座のバルタバス師。

シャンティーイ:壮大な森は狩猟の場としても知られている。
 パリから北へ40Kmの競馬場で有名な町。シャンティーイ城は日本のユネスコ世界遺産、姫路城と姉妹城。

ノルマンディ地方
 ノルマンディ公国はスウェーデン、ノルウェー、デンマークの先祖と同じバイキングの国だった。ノルマンディ公ウィリアム(フランス語はギヨーム)は遠征し、ウィリアム征服王としてイギリス国王になった。13世紀からフランスに入り、中世騎士道の花咲いた地方。
ぶどうが育たないのでりんご酒を作る。食後酒にカルヴァドスを注文すること。
酪農が盛んであるので乳製品、バター、チーズを使う料理がおいしい。

カマルグ地方
 ジプシーと白い野生馬カマルグ馬の住む南仏の湿沼地帯。バルタバスや、スペイン語でルンバを歌うグループ、「ジプシー・キングス」は実は、ここからの出身という。
ワインはローヌ河渓谷の赤ワイン(コート・デュ・ローヌ)やプロヴァンス地方のロゼがおすすめ。
 さあ!この夏はフランスへ馬を見に行きましょう。乗馬が出来ない人も料理に舌つづみをうち、馬を観ながらワインをたしなむのは最高の贅沢です。

2005年6月
竹本元一


竹本元一(乗馬プロガイド)
フランス語、スペイン語、アラビア語、英語が堪能で乗馬はベテラン。パリ・ジュネーブ在住30年、今まで数多くのツアーを企画し、成功させている実績を持っている。特に、乗馬ツアーは多くの乗馬愛好家から人気を集めている。剣術家(フェンシング・フルーレ)、ホルン・コルネット奏者であり、フラメンコ歌手・ダンサーでもある。
 この夏も多くのツアーを予定しています。どのツアーでもオプショナルとして、ベルサイユとシャンティーイを観光できます。詳しくはこちらをご覧下さい。www.fujiatlas.com/horse